既製品を超える特別感と部屋の形に合わせた設計
今回、「WICの中から」のブログを運営している方のリモートワーク用デスクDIYを拝見させていただきました。
市販品で済ませず、凸の字にきれいに収まるデスクがないという課題を、まさかのDIYで解決してしまうという発想が素敵です。
特に共感できるのは、「高品質な量産品が手に入る時代だからこそ、自分で作るものにはお金に代えがたい価値がある」という考えです。
毎日使う仕事のデスクだからこそ、サンドペーパーで磨いた手触りや、部屋にぴったり合った佇まいに満足感を覚えるというのは、DIYの醍醐味そのものです。
今回のDIYは、単なる趣味の棚作りではなく、仕事の効率に直結する実用性の高い大物DIY。
木材の剛性計算や、脚の安定性(モーメントの釣り合い)まで考えて設計している点に、「プロの発想だ」と唸らされました。
25mm厚のアカシア集成材を選び、天板の厚みと剛性をしっかり確保しているのも、長く使うための賢明な選択だと思います。
鬼目ナットはネジバカ防止の英断だった
このデスクDIYで、個人的に最も評価したのは、脚の取り付けに「鬼目ナット」を採用したことです。
これは、このデスクを長く使うための英断だと思います。
多くの方が脚の取り付けを直打ちのネジで済ませてしまいますが、temceeさんが指摘するように、直打ちだと木材側の雌ねじがバカになりやすく、ネジの締め直しやデスクの分解が困難になります。
特に引っ越しなどでデスクを分解・再組立する際に、直打ちだと強度を維持できなくなる可能性が高いです。
鬼目ナットを使うことで、ネジ締結の相手が木材から金属のナットに変わり、直打ちによるネジ山の潰れを防げます。
すると、脚の着脱が何度でも可能になり、メンテナンス性や再利用性が格段に向上するのです。
下穴の深さの調整が難しかったという点にも深く同意でした。
厚さ25mmの天板に対し、下穴を20mmで狙うのは、貫通リスクと強度維持のバランスが非常にシビアです。
失敗したネジ穴もあったようですが、脚1本につき8箇所という多点締結で、影響を最小限に抑えるという判断も、リスク管理の経験値から来ているものだと感じます。
ワトコオイル・エボニーがもたらす高い付加価値
製造工程の苦労話を読むと、「大変な作業だった」と感じますが、その手間が最終的な仕上がりに大きく貢献していると感じました。
特に、ワトコオイル(エボニー)による仕上げは、素の木材では決して得られない高い付加価値を生んでいます。
暗めのエボニー色がアカシア集成材の濃淡を落ち着かせ、長い年月を経たような品の良さを演出していますね。
オイルフィニッシュは塗布後の拭き取り作業が大変ですが、それを徹底したおかげで、色移りのない、ツヤのある手触りの良い表面に仕上がっています。
この「手間を惜しまない姿勢」こそが、プロも納得の仕上がりを生み出す秘訣です。
作業用デスクの確保は、リモートワークの効率を上げるうえで不可欠。
ぜひこの鬼目ナットを使った堅実な設計・DIYの様子を皆さんにも読んでみてほしいです。

